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诉讼见

アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるものKobayashi v.Toyota Motor Corporationの訴状から

溜箭将之

Ⅰ訴状

Ⅱ訴状を読む

Ⅲ訴状から見えてくるもの

2006年5月1日,トヨタ自動車とその北米子会社,および北米子会社の社長兼CEOが性的嫌がらせ(セクハラ)で訴えられ,1億9000万ドルの損害賠償を請求された。事件は,訴訟提起の直後から,日米の新聞等で報道され注目を集めた。

2008年の執筆の時点で,この事件は既に忘れ去られたかのような観がある。しかし,改めて事件を振り返ると,そこからはアメリカにおける法や裁判のあり方や,アメリカでの訴訟に対する日本企業の対応の難しさなど,様々なことを学ぶことができる。本稿では,この事件の訴状を読みながら,そこから学べることを丹念に拾っていくことにする。

Ⅰ訴状

次に掲げるのは,2006年に北米トヨタの従業員小林サヤカ〔以下敬称略〕がトヨタ自動車,北米トヨタ及び大高英昭を相手取って提起した民事訴訟の訴状である。Ⅱ.?.で述べるように,事件は訴訟提起から3ヶ月足らずの8月4日に和解で終結している。このため,事件の係属した裁判所で閲覧?複写できる訴訟記録は,この訴状のほかには,召喚状と和解を裁判所に通知した書面のみに限られる。

(1)

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アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるもの(溜箭将之)

ニューヨーク州ニューヨーク郡

最高裁判所

………………………………………………

小林サヤカ整理番号

原告訴状

トヨタ自動車株式会社,

トヨタ?モーター?ノース?アメリカ(株)

及び大高英昭

被告

………………………………………………

原告小林サヤカは,弁護士事務所Ziegler,Ziegler&Associates,LLPを通じ,被告トヨタ自動車株式会社(「日本トヨタ」),トヨタ?モーター?ノース?アメリカ(株)(「北米トヨタ」)および北米トヨタ社長兼CEO(大高英昭(「被告大高」))(日本トヨタ,北米トヨタおよび被告大高をあわせて「被告ら」と呼ぶ)に対する訴状として,以下のように陳述する。

概要

1.小林さんは,1997年にアナーバー(ミシガン州)のアメリカ?トヨタ?

テクニカル?センター社に就職した。2002年,小林さんは,ニューヨーク市で北米トヨタの企画業務部に配属された。2005年3月,小林さんは,被告大高の社長付アシスタントになるように依頼された。北米トヨタのトップからのオファーを断るのは賢明ではないと考え,小林さんはそのポジションを受け入れた。ところが,そのポジションは,小林さんの望むキャリア?アップへの一歩となるどころか,まさに悪夢となったのである。

2.被告大高の社長付アシスタントのポジションについて6か月も経たない

2005年8月,小林さんは,被告大高からの不快な性的な口説きとセクハラのターゲットにされた。この訴状で詳細に叙述するように,被告大高及び北米ト393(2)

立教法学第76号(2009)ヨタによる小林さんに対する具体的セクハラ行為には,以下のものが含まれていたが,それだけには限られない。

?被告大高による小林さんへの性的暴力。被告大高は,彼女にのしかかろ

うとした。

?被告大高が,小林さんを職場の外で一人にして性的暴力を加えるため

に,小林さんの仕事および出張の日程を恣意的に動かしたこと。

?被告大高が小林さんに対するセクハラの間,私はあなたがトヨタでのキ

ャリアで成功するよう「お役に立ちたい」と繰り返し述べたこと。

?小林さんが北米トヨタの女性従業員の部下ではなく,被告大高直属にな

るよう,北米トヨタが社長室の人事を操作したこと。

?被告大高が,自分の妻との性生活の詳細(ないしご無沙汰であること)

および他の女性との性的関係を含む彼の私生活の生々しい内容を聞く

ことを,小林さんに強いたこと。

?小林さんが,被告大高の言語道断かつ卑劣な行為を北米トヨタに報告し

たのに対し,被告らが報復したこと。

3.以上の事実により,小林さんは,被告日本トヨタ,北米トヨタおよび大高に対し,ニューヨーク州人権法ニューヨーク州法律290条以下(「州人権法」),ニューヨーク市条例8-101条以下(「市人権条例」)およびニューヨーク州判例法に基づき,このセクシュアル?ハラスメント及び雇用差別の訴えを提起する。

4.2005年3月31日時点で,日本トヨタは世界第7位の規模を誇る企業であり,日本最大の自動車メーカーだった。また2005年3月31日の会計年度末には,生産台数?製造台数ともに世界第三位の自動車メーカーであり,連結ベースで740万台の自動車を販売していた。日本トヨタは,さらにその2005年会計年度末の時点で世界第7位の規模を誇る企業だった。日本トヨタは524社の連結子会社および222社の関係会社を有していた。日本トヨタの全世界での従業員は265,700人を超え,うちおよそ31,500人が北アメリカにおける従業員だった。?ドル107.39円の為替レートをもって計算すると,2005年3月31日までの?年間で,日本トヨタの総収入は1730億ドルを越え,総利益は109億ドルを越えていた。

5.日本トヨタは,2006年3月31日までの会計年度において,795万台の自動車を販売すると推定している。日本トヨタの2005年12月31日までの四

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アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるもの(溜箭将之)

半期における北アメリカでの総収入は185億ドルを越えており,営業収益はおよそ11億9000万ドルだった。

6.北米トヨタは日本トヨタの全額出資子会社で,実質的に世界第7位の大

手企業の北アメリカにおける顔ともいうべき存在である。北米トヨタは,日本トヨタの,アメリカ合衆国,カナダおよびメキシコにおける製造,財務,販売,広報宣伝およびマーケティング活動を担う持株会社である。北米トヨタの一次的な機能としては,コーポレート?コミュニケーション,投資家向け広報活動,企業広告,連邦政府,産業および規制に関する業務;市場,経済や自動車産業に関する調査;およびトヨタUS A財団が挙げられる。さらに北米トヨタは,北アメリカにおけるすべてのトヨタ関連会社の企業計画,人材多様化および営業活動の調整を行っている。北米トヨタは,北アメリカのおよそ31,500人の従業員に関する,差別および職場慣行に関係する指針など,日本トヨタの諸指針?諸手続を実施?実行する責任を負っている(日本トヨタの2004年度事業報告による)。

7.北米トヨタの社長兼最高経営責任者(CEO)は,北米トヨタの役員の中

で最も高いポジションである。北米トヨタの社長兼CEOは北アメリカで日本トヨタの利益を代表する責務を負っている。北米トヨタが北アメリカにおける日本トヨタという企業の顔だとすれば,北米トヨタの社長兼CEOは北アメリカにおいて日本トヨタを体現するものといえる。

8.2004年6月,世界第7位の大企業たる日本トヨタは,文字通り何千もの

役員候補がいる中から,以前日本トヨタ取締役だったが不可解な経緯で解雇されていた,被告大高を北米トヨタの社長兼CEOに任命した。

9.知りかつ信ずるところによれば,被告大高の日本トヨタとその関係企業

における経歴には,婚外で性的関係を重ね,またそうしたことをしたがるという評判がつきまとっていた。

10.被告大高が北米トヨタの社長兼CEOに任命された時点で,日本トヨタ

および北米トヨタはいずれも,被告大高が日本トヨタにおける以前の地位を濫用し,婚外の性的関係を重ね,またそのようなことをしたがるとの評判を承知していたか,もしそうでなくとも承知しておくべきだった。

11.世界第7位の大企業及びその北アメリカにおける完全子会社北米トヨ391(4)

立教法学第76号(2009)タは,被告大高を解雇するか,トヨタの女性社員に対し自らの権力ある立場を濫用できない地位に置くどころか,北アメリカにおける31,500人を超える従業員に対し絶対的な権力と権限を及ぼせるポジションに被告大高を置くという選択をした。

12.被告大高は,北米トヨタの社長兼CEOの立場を任せられた後に,原告小林サヤカに対し繰り返し執拗なセクハラを働くようになったが,それは日本トヨタまたは北米トヨタにとって驚くべきことでなかった。

13.奔放な婚外性生活で知られる人物を北アメリカで最も高い役員の地位にすえるだけでは,日本トヨタと北米トヨタにとって皮肉とはいえないかのように,北米トヨタは,職場慣行とセクハラに関する指針と手続を詳細に述べた従業員ハンドブックへの序文を被告大高に書かせた。被告大高は従業員ハンドブックへの序文を次のように締めくくっている。「このハンドブックはあなたのためのものです。私は,私たちが〔北米トヨタの〕従業員として互いに有する責任を明確にすることが,あなたにとり有益なことだと信じております。」14.被告大高が原告に執拗なセクハラを働いていた間,北米トヨタの従業員便覧には,職場におけるセクハラについて次のような指針が記載されていた。

?セクハラは,快適で生産的な作業環境で働くというすべての従業員のも

つ権利を侵害し,雇用関係における信頼性を失わせます。

?男性と女性とを問わず,いかなる従業員も,意に反して言葉や身体によ

る性的行為にさらされてはなりません。

?北米トヨタは,従業員がそれぞれ個人として尊重され,自らの真価を発

揮しつつ昇進とともに人格的に成長をとげる平等な機会を有するよう

な,よりよい職場環境を提供することを誓約します。この誓約にのっ

とり,北米トヨタは,職場におけるいかなる形のセクハラも,これを

固く禁止します。そのような行為は北米トヨタでいかなるレベルでも

許されません。また,セクハラを行ったと認められた場合,いかなる

者も,解雇も含む懲戒処分を受けることになります。

?セクハラは違法行為であるだけではありません。セクハラは生産性を損

ない,犠牲者の人格を傷つけるものです。すべての従業員は,職場に

おいて誇りと敬意をもって接せられる資格があります。北米トヨタは,

従業員がこういった職場での基本的な権利を享受できるよう,たゆま

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ぬ努力を続けてゆきます。しかしながら,これは私たち全員で共有す

る責任でもあります。あなたの協力は,すべての従業員にとってより

よい職場環境を育むのに欠かせないのです。

当事者

15.小林さんは1997年からアメリカ合衆国でトヨタに雇用されている。小

林さんは日本国籍で,アメリカ合衆国の永住権を有している。小林さんはイースタン?ミシガン大学から教養学士(B A)の学位を取得している。小林さんは現在,勤務時間外で,経営管理学修士(「M B A」)の勉強のためペース大学に通っている。小林さんはニューヨーク州クイーンズ郡の居住者である。

16.被告日本トヨタは,ニューヨーク州において営業活動を認められた日

本の会社である。日本トヨタの法人名はトヨタ自動車株式会社であり,英語に翻訳すると,Toyota Motor Corporationとなる。

17.被告北米トヨタは日本トヨタの全額出資子会社で,カナダ,メキシコ

およびアメリカ合衆国における製造,財務,販売,広報宣伝およびマーケティング活動を担う日本トヨタの持株会社である。北米トヨタの一次的な機能としては,コーポレート?コミュニケーション,投資家向け広報活動,企業広告,連邦政府,産業および規制に関する業務;市場,経済や自動車産業に関する調査;およびトヨタUS A財団が挙げられる。さらに北米トヨタは,北アメリカにおけるすべてのトヨタ関連会社の企業計画,人材多様化および営業活動の調整を行っている。北米トヨタは,ニューヨークでの営業活動を認められており,本社はニューヨーク州ニューヨーク郡に所在する。

18.被告大高は,この訴状に関わるすべての期間において,北米トヨタの

社長兼CEOであり,ニューヨーク州ニューヨーク郡の居住者である。被告大高は北米トヨタの社長兼CEOとして,北アメリカの31,500人を超える従業員に対し,職場慣行基準を含め,日本トヨタの方針および手続きの実施を直接監督する責任を負っている。

裁判管轄と裁判地

19.本裁判所は州人権法,市人権条例及びニューヨーク州判例法に基づく389(6)

立教法学第76号(2009)原告の請求について事物管轄権を有する。原告のこうむった損害の額は,裁判所手数料と訴訟費用を除いても,本裁判所の管轄に関する最低係争額を越えている。

20.この訴状の提出にあわせて,小林さんは,ニューヨーク市の人権委員会およびニューヨーク市の法務長官オフィスに,説明の手紙に加えて,この訴状の写しを説明文とともに郵送した。これはニューヨーク市条例の8-502条の通知義務を満たすものである。

21.北米トヨタおよび被告大高はニューヨーク郡に所在するので,ニューヨーク郡の最高裁判所は裁判地を有する。

すべての請求に関わる事実

A.小林さんの北米トヨタにおけるキャリア

22.小林さんは,ミシガン州アン?アーバーにあるトヨタ?テクニカル?センター社(「トヨタ?テクニカル」)で1997年にトヨタにおけるキャリアを開始した。

23.小林さんは約6年間ミシガン州でトヨタ?テクニカルで勤務した。トヨタ?テクニカルにおいて,小林さんは「スペシャリスト」として勤務しており,一貫して模範的との業績評価を受けていた。

24.2003年2月,小林さんはトヨタ?テクニカルからニューヨーク州ニューヨーク郡で北米トヨタへの配置転換を受けた。

25.ニューヨークへ転勤すると,原告は北米トヨタの企画業務部に割り当てられた。企画業務部内での原告上司は,北米トヨタの女性従業員ケイ?マギラヴィーだった。

26.北米トヨタの企画業務部に所属していた間,原告は模範的との業績評価を受けていた。

27.2005年3月頃,被告大高の当時の個人秘書は,北米トヨタから退職する意思を表明した。

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28.個人秘書の退職の意思が発表された直後,北米トヨタの人材管理の責

任者ビル?ドハティーが原告のところにやってきて,被告大高が彼女に社長付アシスタントになってもらいたいと言っていると告げた。

29.被告大高の社長付アシスタントになってくれとの依頼に,原告は当惑

せざるを得なかったが,それにはいくつかの理由があった。第一に,彼女は,職務を変更してくれとの依頼されるまで,被告大高とやりとりをしたことがほとんどなかった。第二に,社長付アシスタントになって欲しいとの依頼が,そのようなポジションを決める際の通常の手続きから逸脱していた。第三に,被告大高の社長付アシスタントになって欲しいとの依頼は,北米トヨタで彼女が目指していた昇進コースとは違うものだった。

30.職務の変更に懸念を抱きつつも,2005年4月,原告は被告大高の社長

付アシスタントとしての新たな職務につくことを引き受けた。

31.原告が職務の変更を引き受けた大きな要因は,次の3つだった。(i)北

米トヨタの社長兼CEOからの具体的な依頼を拒むことは,北米トヨタにおける将来のキャリアを考えると賢明ではないと考えたこと,(ii)原告は一貫して優れた業績評価を受けており,北米トヨタの社長室が彼女のような能力をもつ人物が必要だと判断したのだろうと考えたこと,(iii)当時の北米トヨタの社長室の人事構造においては,社長室を取り仕切るのは,原告の従来からの上司ケイ?マギラヴィーになっていたこと。したがって,小林さんの職務が変わるとはいっても,彼女の直属の上司は,従来どおりマギラヴィーさんとなるはずだった。マギラヴィーさんは,2005年8月まで原告の直属上司だったが,後に被告大高は,北米トヨタの社長室の人事構造を変更することを決め,その結果彼は原告の直接の上司になった。

B.被告大高のトヨタにおけるキャリア

32.被告大高は1965年,日本トヨタに入社した。

33.被告大高は,1965年から2004年6月に北米トヨタの社長兼CEOに任

命されるまで,日本トヨタおよび日本トヨタの子会社において,様々な役員の地位を歴任した。その間には,数年間にわたり日本トヨタの取締役を務めたものの不可解な状況の下で解任されるということもあった。

34.知りかつ信ずる限り,日本トヨタやその子会社における被告大高のキ387(8)

立教法学第76号(2009)ャリアには,婚外でたびたび性的関係をもつとの風評がつきまとっていた。

35.2004年5月に日本トヨタは,それまで4年間北米トヨタの社長兼CEO を務めた田口トシアキ(タグ)が日本へ帰国し,大高英昭(ハリー)がこれを引継ぐ,とのプレス?リリースを発表した。プレス?リリースによれば,被告大高は1965年から日本トヨタに勤務しており,アメリカ合衆国,ヨーロッパ,アフリカ,中東,南西アジアおよびオセアニアにおける日本トヨタの販売,マーケティング,製造計画の立案などを担当してきた。プレス?リリースではさらに,被告大高が6年にわたり,ロサンジェルスのアメリカ合衆国およびワシントンD.C.にあるトヨタ自動車販売会社のオフィスに勤務し,日本トヨタの取締役を務めたとされている。

36.2004年6月頃,被告大高はマンハッタンにある北米トヨタ本社のオフィスに着任した。

37.被告大高がマンハッタンにある北米トヨタの社長室に着任した時点で,マンハッタンにある北米トヨタ社長室にはおよそ80人の従業員がおり,オフィスビルの一つのフロアで勤務していた。

38.北米トヨタのオフィスは,被告大高を含め北米トヨタの役員が,小林さんを含むすべての従業員の働く職場を見渡せるよう,オープン?フロアの形をとっていた。

39.被告大高は,原告に対し執拗なセクハラを繰り返していた間,それまで幾多にも及ぶ不倫の数々を原告に自慢した。

40.現時点で知りうる限り,日本トヨタと北米トヨタはいずれも,日本トヨタが被告大高を北米トヨタ社長兼CEOに任命した時点で,被告大高が婚姻外の性的関係やその試みを繰返す男だとの評判を承知していた。

41.日本トヨタと北米トヨタはいずれも,被告大高を北米トヨタ社長兼CEOの地位に任命することによって,彼を北米トヨタのセクハラ指針を含めて,北アメリカ全体で何万人にも及ぶ従業員のための北米トヨタの諸指針?諸手続を実施?実現する責任を負う立場におくことになると承知していた。

42.日本トヨタと北米トヨタはいずれも,被告大高を北米トヨタの社長兼

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CEOに任命することで,彼に北米トヨタ内の人員配置や人事関係に関する決定を下す権限を委ねることになると承知していた。

C.小林さんが被告大高の社長付アシスタントに着任

43.2005年4月,原告は被告大高の社長付アシスタントとして働き始めた。

44.2005年4月から2005年8月の最終週頃まで,原告が被告大高の社長付

アシスタントとして働いていた間,彼女の直属の上司は以前と同様ケイ?マギラヴィーだった。マギラヴィーさんは,原告の直属の上司として,原告の出張予定を含め,勤務の日程や内容を承認する立場にあった。

45.2005年4月から2005年8月末頃まで,被告大高が,原告に出張への同

行を求めることはなかった。

46.被告大高は,2005年8月末頃,北米トヨタの社長室の人事構造を変更

し,原告の直属の上司がマギラヴィーさんではなく彼自身になるようにした。

被告大高が原告の直属の上司になった時点で,彼は彼女の「出張」を含め,彼女の勤務の日程を指示?承認する権限をもつことになった。

47.2005年8月26日,被告大高は,昼食をとりに外出するため北米トヨタ

のオフィスのエレベータを待っている原告に近づいた。被告大高は,彼女にランチへ行くのかと尋ねた。原告がそうだと答えると,被告大高は一緒に行くよと言った。

48.原告は,被告大高が一緒にランチを食べに出るという行動は,とても

奇異だと感じた。その日まで,原告は,被告大高と職場以外で二人きりになったことはなかった。原告は,被告大高とのランチの間中,とても居心地悪く感じた。

D.被告大高が原告に執拗なセクハラを働くようになる

49.2005年8月29日の週に,被告大高は原告に,ワシントンD.C.への出張

に同行するよう命じた。

50.原告は,ワシントンD.C.への出張に同行せよとの被告大高の求めは奇

異だと思った。彼女が大高の求めを奇異だと思った理由は,彼女が知る限り,被告大高が以前の個人秘書に対し,出張に同行するよう指示したことがなかっ385(10)

立教法学第76号(2009)たことと,出張期間中どのような仕事をすればよいのか見当もつかなかったことだった。

51.2005年9月1日,北米トヨタはオフィス全体に渡された文書を通じ,同日付で被告大高が原告の直属の上司になると正式に発表した。

52.毎週金曜日,北米トヨタの全職員は,午前8:30に集合しコーヒーを飲むことになっていた。2005年9月2日金曜日,被告大高および原告が午前8: 30の会合に出席したとき,9月3日が原告の誕生日だと発表された。

53.2005年9月2日午後1:30ごろ,原告が北米トヨタのデスクで仕事をしていたところ,被告大高は,自ら2ダースもの赤いバラの大きな花束を持ってきた。

54.被告大高からの2ダースもの赤いバラというプレゼントは,仕事の関係上適切とはいえないので,原告はとても気味が悪い思いをした。原告の同僚の何人かが,誰からバラをもらったのかを尋ねてきた。原告が被告大高からだと答えると,同僚たちは不思議そうな表情をしたので,彼らも大高からのプレゼントが奇異だ,あるいは不適切だと考えていることが原告にも分かった。

55.2005年9月2日の午後3:00頃,被告大高は,日本から来た8人の日本トヨタのスタッフとの会合の中で,ワシントンD.C.,マイアミおよびトランスにある北米トヨタの事務所への出張の際に,原告を「研修」の一環として定期的に同行させると述べた。

E.被告大高は,ワシントンD.C.への出張の間に原告に対しセクハラ行為をする。

56.2005年9月6日,原告は被告大高の指示に従い,被告大高のワシントンD.C.への出張に同行した。

57.2005年9月6日午後10:00頃,被告大高は,ワシントンD.C.で原告のホテルの部屋に電話をかけ,そちらのホテルの部屋へ行ってよいか,それがいやなら自分の部屋に来てもらえないかと尋ねた。原告が用件はなにかと尋ねると,被告大高はちょっと話したいことがあると答えた。

58.原告は,被告大高からの会いたいとの申し出に気味悪いと感じたが,

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応じる以外にないと思った。原告は仕事用の服に着替え,被告大高のホテルの部屋へ行った。

59.原告が被告大高の部屋に着くと,被告大高はアルコール飲料を勧めた

が,彼女はそれを断わった。被告大高は,あなたのように綺麗な女性がなぜ誰とも結婚していないのかと原告に尋ねるなど,原告のプライベートに関わる不適当な話を始めた。

60.原告にひとしきり私生活の話をさせようとした後,被告大高は突然小

林さんに近づき,彼女の体を無理やりつかむと,性的な接触をしようとした。

61.原告は被告大高を振りほどくことができた。そして被告大高に対し,

自分は被告大高とは仕事上の関係だけを望んでおり,また付き合っている人がいることを伝え,もうホテルの自分の部屋に戻ると言った。

62.原告が被告大高のホテルの部屋から出ようとすると,被告大高は「も

しよければ今晩ここに泊って行ってもいいよ」と言った。

F.被告大高が原告に対し執拗にセクハラ行為を続ける

63.2005年9月7日,原告は,被告大高とワシントンD.C.から戻ってきた。

64.2005年9月8日頃,被告大高は原告に対し,2005年10月にマイアミ

への出張に同行してもらうので,出張の手配をするようにと述べた。

65.2005年9月13日,原告は被告大高に仕事に関するボイス?メールを残

した。被告大高は,この仕事関係の用件に電子メールを返し,「あなたの声を聞いて,私はとても嬉しかった」と述べた。

66.2005年9月15日,原告は被告大高から,自分がマイアミに出張する予

定で,原告が10月に一緒にマイアミへ来たら夕食を一緒にしたい,また10月には妻もマイアミには同行しないはずだ,と書かれた手書きのメモを受け取った。

67.2005年10月8日,原告は,被告大高の家で開かれたディナー?パーテ

ィーの手伝いをするよう指示された。パーティーの間,被告大高はキッチンで,北米トヨタの日本から派遣されたスタッフであるサイグサ?アキコと,自383(12)

立教法学第76号(2009)分の朝食用シリアルの好みなどにつき雑談をした。大高夫人や他の北米トヨタのスタッフのいるところで被告大高は言った,「いや,私の一番のお気に入りはサヤカで,その次がケロッグ?コーンフレーク。サイグサさん,あなたは私のリストに入ってないよ。」と述べた。

G.被告大高は,原告をマイアミへ同行させようとする

68.原告は,2005年9月6日にワシントンD.C.での被告大高の振舞いを見せ付けられたほんの数日後,被告大高に2005年10月のマイアミへの出張に同行するよう命じられ,ショックを受けうんざりした。

69.原告は,マイアミであれどこであれ,被告大高に再び性的な暴力を加える機会をあたえかねない場所に同行したくはなかった。そこで彼女は2005年10月10日,学校で近々テストがあるので,マイアミに同行することはできないと被告大高に伝えた。被告大高は,原告が出張に行かないといったことで,自分は気分を害された,と伝えてきた。

70.2005年10月14日,被告大高は出張先のボストンからEメールを原告に送り,2005年10月19日に一緒にランチに行きたいと書いた。

71.2005年10月17日月曜日,原告が朝仕事のためにデスクに来ると,デスク上にグリーティング?カードと箱が置いてあった。グリーティング?カードは被告大高からで,日本語で次のように書かれていた。

マイアミへの出張をキャンセルすると返事するまでに,あなたは悩んだことでしょう。あなたを困らせてしまいました。申し訳ないと思います。

私は,眠れなかったワシントンD.C.の夜を思い出します。マイアミであなたにあげるつもりだったプレゼントを添えます。あなたともっと話しがしたい。水曜日にランチに行きましょう。

大高英昭2005年10月15日

72.2005年10月17日に原告が被告大高から受け取ったグリーティング?カードには,暗紅色のネックレスの入った箱が添えられていた。原告はカードとネックレスをデスクに入れ,被告大高に対しどちらも受け取ったと認めることはなかった。

73.2005年10月19日,原告は,被告大高からランチに付き合うよう求め

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アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるもの(溜箭将之)

られた。ランチの前,被告大高は,原告に対しセントラル?パークで一緒に歩くよう求めた。セントラル?パークを歩いている時,被告大高は原告に対し,マイアミへの出張にこなかったことで,とても気分を害したといった。そして彼は,原告のボーイフレンドが彼女にはあっていないのではないかと心配している,そして自分は原告と「友達」になりたい,妻との関係はもう何年も「空虚」なもので,自分は既に浮気をしたことがある,と述べた。原告は,大高に対し,自分はあなたの浮気相手になる気は毛頭ないと伝え,被告大高は「分かった」と言った。

H.被告大高が,再び原告を出張に同行させようとする

74.2005年10月26日,原告は被告大高のために,2006年1月8日に始ま

るデトロイト?オートショーに関するメモの下書きをした。

75.被告大高はデトロイト?オートショーに関するメモを受け取ると,オ

ートショーの日付に丸をつけ,「一緒に行きましょう」と走り書きをして返してきた。被告大高は,さらにメモに次のように書いた。「旅のハイライトを?月?日日曜日にしてください。例えば,金曜夜にデトロイトに飛行機で入って,土曜日にフォード博物館,グリーンフィールド?ヴィレッジあるいは自動車殿堂を見て回るとか……。お願いだから,会議はやめて,自由な時間を作りましょう。ホテルは早く予約した方がいいです。大高」

76.2005年10月27日に,原告は被告大高にEメールでデトロイトへの旅

程を送ったが,自らがデトロイトへ同行するかについてはまったく触れなかった。被告大高は原告の旅程の提案に返信のEメールを送り,そこには次のような内容が含まれていた。「サヤカ,フォード?グリーンフィールドはあなたの都合のよい日に別にガイドしてもらいます。」

77.2005年11月1日,被告大高は原告に次のような手紙を送った。「デト

ロイトへ出張する日を空けておいてください。私は,将来トヨタ博物館を改装する際の参考ためにフォード博物館を見ておきたいのです。」

78.2005年11月2日,被告大高は原告に次のような手紙を送った。「〔デト

ロイトへの〕出張にあなた自身も入っていますか?」また,「あなたがガイドしてくれるなら,私は寒くても大丈夫」(デトロイトのグリーンフィールド?ヴィレッジが屋外の博物館であることを指している)。

381(14)

立教法学第76号(2009)

I.被告大高が,原告に対し?度目の性的暴力をふるう

79.2005年11月14日,被告大高は,原告にランチに付き合うように求め,メトロポリタン美術館でのヴァン?ゴッホの展覧会にでかけた。

80.ランチの後に,1時間ほどヴァン?ゴッホの展覧会を回った後に,被告大高は原告を「公園のお気に入りのスポット」へ連れて行きたいので,セントラル?パークに一緒に来るようにと言った。

81.セントラル?パークを歩いている間,被告大高は絶えず人気のないエリアへ原告を連れて行こうとした。公園の人気のないエリアに入ると,被告大高は急に原告の体をつかみ,無理やり性的な接触をしようとした。原告は,なんとか被告大高を押しのけた。原告は改めて,自分には付き合っている人がいて,あなたに触れられると非常に不快だと被告大高に伝えた。

82.原告に対する2度目の性的暴力の直後,被告大高は,自分は既婚女性と浮気したことがあるが,その女性は成熟していたので,そのような関係は結婚とは別だと割り切って考えられた,と言った。原告は被告大高に対し改めて,あなたとの性的関係には興味がないと伝えた。すると被告大高は原告に対し,私は子どもが好きで,もし自分が10歳若かったら,あなたに私の子どもを産んでほしかったなぁ,と言った。

J.被告は,セントラル?パークで性的暴力の後も原告へのセクハラ行為をやめない

83.2005年11月中,被告大高は,繰り返し2006年1月のデトロイト?オートショーへの出張の日程を変更することを原告に通知した。被告大高の旅程変更には,必ず原告が出張に同行する旨の記載が含まれていた。

84.被告大高が何が何でも原告を2006年1月のデトロイト出張へ同行させようとするしつこさに,原告は不安になるとともに,うんざりとさせられた。原告は,被告大高からのプレッシャーにもかかわらず,デトロイト出張について自分自身の旅程は組まなかった。

85.被告大高は,原告がデトロイト出張の予定に自分を含めていないことに気づくと,トウラ氏およびハシモト氏の2人の北米トヨタ従業員に命じ,原告のためにミシガン州ディアーボーンにあるリッツ?カールトンのホテル部屋を予約させた。原告は既に,被告大高のためにリッツ?カールトンの部屋を予

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アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるもの(溜箭将之)

約していた。

86.原告はトウラ氏から,リッツ?カールトンの部屋を予約するのは,直

前でもあり,オートショーのためにデトロイトへ行く観光客も多いだろうから,難しいだろうと被告大高に伝えたと言われた。さらにトウラ氏は,原告レベルの北米トヨタ従業員がそのような高級ホテルに宿泊したことはこれまでなかったので,彼女のレベルの従業員がリッツ?カールトンに泊る必要があるのだろうか,と言った。

87.原告はトウラ氏に対し,自分はリッツ?カールトンに泊りたいわけで

はないと伝えた。トウラ氏は,被告大高が原告のためにそのホテルの部屋を予約しろと言って譲らないのだと言った。2005年12月,トウラ氏は,原告のためにリッツ?カールトンの部屋を予約したと原告に伝えた。

K.原告は被告大高の行為について北米トヨタの人事担当ヴァイス?プレジデントに通知する

88.2005年11月末,原告は,北米トヨタの人事担当ヴァイス?プレジデン

トのタカツ?コウに会い,被告大高からセクハラを受けていると伝えた。

89.タカツ氏は被告大高のセクハラに対する原告の苦情を聞いたものの,

苦情について調査する手順について原告には何も言わなかった。

90.原告がタカツ氏を通じて北米トヨタの人事部に苦情を伝えて数日たっ

ても,人事部は,その苦情を調査したり,これに対処する手段をとったりしていなかった。被告大高の度重なるセクハラに加え,このような事態に直面した原告は,北米トヨタのナンバー?の役員デニス?クネオ上級ヴァイス?プレジデントに宛てて,被告大高が自分にセクハラ行為を働いていることを知らせる手紙の下書きをした。

L.原告の12月6日付の手紙および北米トヨタの対応

91.2005年12月6日,原告は,被告大高の3か月以上にわたる複数のセク

ハラ行為について細かく記したメッセージをデニス?クネオにEメールで送付した。さらに原告は,クネオ氏への手紙の中で,被告大高が2006年1月には原告を昇進させる予定だと繰り返し述べており,自分はそれを,昇進したければ原告大高の機嫌を損ねない方がいいとほのめかしているものと受け取った,と記した。

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立教法学第76号(2009) 92.原告のEメールを受け取った時,クネオ氏は出張で北米トヨタのオフィスにいなかった。彼は,原告にEメールで返信し,手紙は読んだので,2005年12月8日に北米トヨタのオフィスへ戻ったら,原告とそれについて話し合いたい,と書いた。

93.2005年12月8日,原告はデニス?クネオと会い,2005年12月6日のメッセージの内容について話し合った。クネオ氏は,原告のメッセージについて,2005年12月9日に被告大高と話し合うつもりだと言った。クネオ氏は,被告大高を怒らせたくないので,原告の苦情について被告大高と細かい話をするつもりはないと言った。クネオ氏は原告に,被告大高を怒らせないように,被告大高の原告に対する扱いについて苦情を言ったのは原告のボーイフレンドだ,と伝えるつもりであると言った。

94.2005年12月9日金曜日,クネオ氏はEメールで,被告大高と会った結果,原告が12月2日月曜日に一人で被告大高に会って自分の「心配事」について話すべきだと判断した,と述べた。

95.原告はクネオ氏の指示に従い,2005年12月12日に,被告大高のオフィスでと被告大高に個人的に会った。

96.2005年12月12日に被告大高が原告と会った主な目的は,原告が自分の行為についてどのような情報をクネオ氏に伝えたか見極めることであるように見受けられた。被告大高は,原告がクネオ氏に手紙で伝えたことについて話すように求めただけでなく,誕生日プレゼントにバラを贈ったこと,そして個人的にも原告が昇進する「お役に立」とうと骨を折ったことに対し,感謝の心が足りないと非難した。被告大高は原告に対し,原告には「品性がかけている」として,自分も原告もともに「品行上の問題」があり,それは直す必要があると言った。

97.原告は,被告大高が2005年12月12日に会った際に,「品行上の問題」があると言ったのは,被告大高の花などのプレゼントに対する感謝の念が足りないことと,自分の原告に対するセクハラ行為を同一視しようとするものだと思った。原告は被告大高に対し,セクハラ行為の重大性を小さく見せようとするのは馬鹿げていると言った。

98.2005年12月12日に会った際の被告大高の言葉や態度に,原告はうん

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アメリカにおけるセクハラ訴訟から見えてくるもの(溜箭将之)

ざりしてしまった。被告大高に会った直後に,彼女はクネオ氏とタカツ氏に自分の考えを伝えた。

99.2005年12月12日の午前11:30頃,被告大高とクネオ氏は,北米トヨ

タのオフィスを後にし,カリフォルニアへの出張に出た。

100.2005年12月22日,北米トヨタは,北米トヨタの社長室の管理について組織を変更する旨を,全従業員に通知した。この変更は,被告大高が原告の直属の上司でなくなることを意味した。原告の新たな直属の上司は,北米トヨタの法務顧問アラン?コーエンになった。さらに,2005年12月22日の通知では,原告が「アシスタント?マネージャー」に昇格するが,引き続き被告大高の社長付アシスタントであるとした。

101.2006年1月4日,アラン?コーエンが原告のもとへ来て,被告大高に対する苦情にについていくつか「オプション」があるので話し合いたい,と伝えた。コーエン氏が原告に提示したオプションの中には,「お金を受け取り」北米トヨタを辞める,というものがあった。北米トヨタには,被告大高のセクハラに対し懲戒処分などいかなる処置も講ずる意図もなく,コーエン氏が原告に提示した「オプション」には北米トヨタの新しい社長兼CEOの社長付アシスタントとして残ることは含まれていなかった。

102.コーエン氏やほかの北米トヨタの従業員が,原告の苦情に対して実際に調査を行ったり,そのような調査を見かけたりしたことは一度もなかった。

103.2006年1月6日金曜日,北米トヨタの午前9:00のコーヒー?ミーティングで,原告は先週末に結婚したことを明らかにした。

104.コーヒー?ミーティングの直後,被告大高は原告をオフィスに呼び,また「もしあなたが結婚すると知っていれば,あなたに手出しはしなかったのに」と言った。

M.被告らが原告に報復する

105.2006年1月24日,アラン?コーエンは原告に対し,彼女は2006年1月25日付で北米トヨタの社長兼CEOの社長付アシスタントから外れ,北米トヨタの企画業務部に配置転換される予定だと伝えた。原告が考える時間を欲しいと言ったところ,コーエン氏は「考えることなど何もない」配置転換は377(18)

立教法学第76号(2009) 2006年1月25日だ,などと言った。

106.原告が被告大高によるセクハラに対し苦情を述べた後も,被告大高は北米トヨタの社長兼CEOに留まった。

107.知りかつ信ずるところによれば,原告のセクハラに対する苦情に対し,北米トヨタや日本トヨタによる調査はなされておらず,大高の原告に対する行為に対し北米トヨタや日本トヨタによるいかなる懲戒処分もなされていない。

全被告に対する第一の請求

(州人権法違反)

108.原告は,第1から第107段落までの主張をここに繰り返す。

109.日本トヨタ,北米トヨタ及び被告大高は,原告をセクハラの対象とし,また敵対的勤務条件を作り出すなど,上記の行為と慣行により,原告に対し州人権法に反して性を理由とした雇用条件及び環境についての差別を行った。

110.北米トヨタは,州人権法の規定により,「雇用者」として原告に対し責任を負う。

111.被告大高と日本トヨタは,州人権法に基づき,原告に対する差別を幇助し教唆したことにつき,原告に対し責任を負う。

112.原告は,回復不能の身体的?精神的損害及び金銭的損害,また被告らの差別的行為による身体的?精神的苦痛及び屈辱による損害を現在こうむっており,また今後もこうむると見られる。

113.被告らによる原告に対する差別的行為は,原告の州人権法上の権利に対する,悪意に満ち,故意かつ意図的な侵害にあたる。

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