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语言学教案

教学目標:言語学及び日本語言語学の基礎知識を了解してほしい。
重点:日本語言語学の研究範囲及び日本語の特色
難点:①日本語の特色 ②日本語と国語の区別
一、言語学
言語学は、人類が使用する言語の本質や構造を科学的に記述する学問である。
分類:一般言語学と個別言語学;通時的言語学と共時的言語学
応用言語学?対照言語学?心理言語学? コンピューター言語学?社会言語学?言語文化学
 現在流行っている言語学の三つの流れ:変形生成文法(チョムスーキ)
機能言語学(ハリデー)? 認知言語学(ジョージ?レイコフ )
二、日本語言語学(研究範囲)
(第一章)音声音韻を研究する分野を音韻論と呼ぶ(言語の形式)
(第二章)文字を研究する分野を文字論と呼ぶ (言語の形式) 
(第三章)語彙と意味を研究する分野を語彙論 意味論と呼ぶ
(第四章)文法を研究する分野を文法論と呼ぶ。中には品詞論と統語論(シンタックス)からなる。
そのほか、文章論や談話論などがある。 
三、日本語の特色
1. 日本語と「国語」
日本語とは 日本という地域に行われている、あるいは日本人が用いる言語である。
ほかの言語との比較?対照が考えられる。
☆日本語と「国語」とは同じか。
? ここでの「国語」とは日本人同士の間で自国語として使用し、共通語となってい
る言葉であり、日本という国家を象徴する言語である。
なお、「国語教育」は、日本人に日本語を教えることであり、「国語教育」では、基礎
的な言語能力はすでに備わったものと考えてするのが普通である。「日本語教育」は外国人に日本語を教えることであり、基礎的なものからはじめなければならない。
2. 世界の中の日本語
 この地球上で話されている言葉の数は数千種だと言われる。日本語はその中の一つだ。日本語を母国語とする人口の数は1.2億を超えるという。「世界の統計」によれば、母国語使用者数の順位は次の通りだ。
1.中国語(13億人) 2.アラビア語(4億2000万人)3.ヒンディー語(3億6600万人)
4.英語(3億4100万人)5.スペイン語(3億2200万人~3億5800万人)
6.ベンガル語(2億700万人)7.ポルトガル語(1億7600万人)8.ロシア語(1億6700万人)
9.日本語(1億2500万人)10.フランス語(1億人)11.朝鮮語(韓国語)(7800万人)
四、言語の類型(1)
世界の言語は形態的見れば、「孤立語」「屈折語」「膠着語」「抱合語」の4種類に分け
られる。
1.孤立語:
 中国語、特に古典中国語のように

、単語は全く語形変化をせず、単語は実質的意味のみを示し、互いに孤立的に配列され、文法的機能は語順によって示されるような言語である。
 “我表扬她。” “她表扬我。”
2.屈折語
 単語の実質的意味を表す部分と文法的意味を表す部分とが、分離できないほどに融合して、単語そのものが、文中におけるほかの部分に対する文法的関係をも表し、さらに、その語形変化(屈折)によって、種々の文法的機能を果たす言語である。ラテン語その代表で
ある。例えば、
Puellae reginam amant.(娘たちは女王を愛する)
Rerina puell?s amant.(女王は娘たちを愛する)
puellae(娘たちは――複数?主格)
puell?s(娘たちを――複数?対格)
reginam(女王は――単数?主格)
rerina(女王を――単数?対格)
3.膠着語
実質的意味を表す単語(或いは語幹)に、文法的意味を持つ要素(接辞または単語と認められる形式)が接合される言語を言う。例えば、
「私が彼女を褒める。」「彼女が私を褒める。」 
4.抱合語
文を構成するすべての要素が密接に結合して一つの全体をなし、そのまま文全体が一語に対応する構造を持った言語を言う。エスキモー語、アメリカ?インディ語。
Takusariartorumagaluarnerp?(あなたは彼にそれに専心するつもりがあると思いますか)
Takusar(彼はそれに専心する artor(…へ彼は行く)uma(彼は…するつもりである)galuar(彼はそれする、しかし) ner(あなたは彼が…と思うか)
?(3人称についての疑問)
言語の類型(2)
語順から見れば、世界の言語は次のような類型がある。
語順 言葉の数 割合
SOV(主語+目的語+動詞) 1231 48.5%
SVO(主語+動詞+目的語) 981 38.7%
VSO(動詞+主語+目的語) 234 9.2%
VOS(動詞+目的語+主語) 61 2.4%
OVS(目的語+動詞+主語) 18 0.7%
OSV(目的語+主語+動詞) 12 0.5%
合計 2537 100%
日本語:SOVの構造
1)述語が文の末尾にある。
2)修飾語が被修飾語に先行する。
3)付属語が自立語の後ろにつく。
娘がきれいな花をもらった。
日本語の特色
①音韻の面
1.音節の構造が開音節構造である。
2.音節の数が少ない(111しかない)。
3.モーラ言語に属する。
4.高さアクセントに分類される。
②語彙の面
1.音節の種類の少なさから同音異義語が多い。
2.同義語が多い。
3.擬声語?擬態語が多い。
③文法の面
1.文の切れ目が明確である。
2.体言には、性?数?格の制約がない。
3.指示代名詞は、コソアド体系を備えている。
4.数詞は数えられる対象によって語彙を変える。
5.用言には活用が

あり、この活用は一定様式の形態をとる。
6.助詞は英語などの名詞の格変化?従属接続詞?一部の副詞の働きをつとめるほかに、前置詞の役目をする。
7.修飾語は被修飾語に先行する。
④文字の面:漢字?仮名混じり文
⑤その他
また、条件の違いによって、いろいろ異なった体系=位相(男性語と女性語、幼児語と老人語、雅語と俗語、一般語と特殊語、共通語と方言など)に分かれる。
第一章 日本語の音声と音韻
第一節 音声学あれこれ
教学目標:音声?音声学について、音声?調音?単音(母音?子音?半母音)などの知識を了解してほしい。
重点:言語音と非言語音 有声音?無声音
難点:各単音の音色
一、音声と音声学
1.音声とはなにか。
人間が思想内容を伝達する(コミュニケーションの)ために音声器官を使って発する
音を音声という。
言語音と非言語音に分けられる。言語音には分節的かつ組織的特徴を持つ。非言語音:くしゃみ、あくび、いびき、泣き声など。
言語音には社会的?生理的?物理的という三つの性質を有する。また、物理的性質には音高?音強?音長?音色という四つの要素からなる。
① 音高:音の高さ。発音体が振動する速さ(すなわち、一定時間内の振動数=頻度)
によって決定される。日本語のアクセントが音高アクセントだ。
② 音強:音の強さ。発音体の振幅の大きさによるもの。英語のアクセントが音強アクセントだ。
③ 音長:音の長さ、詳しく言えば各音節の長さである。日本語の長音
④ 音色:音の特色、音の本質とも言える
2.音声学
音声学とは「音声」を研究する分野を「音声学」と呼ぶ。音声学には、
① 調音音声学(音声発出の生理的過程):肺臓からの呼気が気管を通り、喉頭、口腔、
鼻腔などの音声器官を通過する際、どのように変容して言語音としての特徴を持つにいたるかを研究するのである。
② 音響音声学(言語音の物理的性質)
③ 聴覚音声学(音声聴取の生理的.認知的過程)
3.音声記号
音声学で扱われる音声は[ ]を用いて、例えば[k]のように表される。[ ]の中に表
されたアルファベットは音声を表す記号、すなわち音声記号である。その代表的なものが「国際音声字母」(International Phonetic Alphabet、略称IPA) である。
二、音声器官と調音器官
1.音声器官(発音器官)
音声を発するのに必要な器官を総称して音声器官と呼ぶ。肺、気管、喉頭(声帯など)、
咽頭、口腔、鼻腔などからなっている。
分類: 気流の起こし部

分:肺と気管;発声部分:喉頭(声帯);調音器官:喉頭より上の
各器官。
音声の形成:「音声」の表出には、普通呼気が用いられる。呼気は送り出され、気管?
喉頭?咽頭を通り、さらに共鳴腔(口腔?鼻腔)を通って、外部に出るのであるが、この間に「音声」が形成される。
喉頭と咽頭、鼻腔、つまり喉頭以上の部分を声道という。声帯は左右一対の唇ような
もので、声帯の入り口、つまり合わせ目を声門という。
有声音(声を伴う音声)は閉じている、或いは狭まっている声帯を呼気が通り抜けようとして、振動を起こして発せられる音。黙って静かに呼吸している時、声帯は開いていて呼気もそのまま通りぬけるので声にならない。無声音(声を伴わない音声)はこの息の音である。
2.調音器官(図4)
声帯を除いてそれより上のすべての音声器官。声道とも呼ぶ。
調音器官を動かし声道の形を変えることによって、気流に影響を与え、さまざまな種類の音声を作り出される。(調音)
①鼻腔に関係する調音
鼻腔:咽頭上部より鼻孔までの部分は鼻腔(鼻むろ)と呼ばれる。
鼻音:口蓋帆(こうがいはん)が下がって、鼻腔への通路を開けると鼻音が生じる。
日本語で鼻腔を共鳴室として使用する音としてはカ°行、マ行、ナ行の各子音の部分
及び[ン]で表される音等である。
②口腔に関係する調音
咽頭上部より両唇までの部分を口腔と呼ばれる。口腔は上下の唇によって外部と仕切
りられ、その内部は歯、歯茎(しけい/はぐき)、舌、口蓋(硬口蓋と軟口蓋)からなる。
舌:舌先(ぜつせん/したさき)、前舌(ぜんぜつ/まえじた)、中舌(ちゅうぜつ/なかじた)、奥舌(おくじた或いは後舌こうぜつ)、舌根(ぜつこん)。 母音
舌に対応する上部は口蓋と呼ばれ、上の前歯に続
盛り上がった土手のような部分を歯茎、その奥の硬い部分を硬口蓋、歯茎と硬口蓋にかけてのあたりを歯茎硬口蓋、さらに奥の柔らかい部分を軟口蓋と呼ぶ。軟口蓋の後部は口蓋帆と呼ばれ、この部分が伸びて咽頭壁に付くと鼻腔への通路を閉じて口腔音を生じる。
口腔を使用する音はカ°行、マ行、ナ行の各子音の部分及び[ン]で表される音以外の子音及び母音[ア、イ、ウ、エ、オ]などである。
上の調音器官:上唇(じょうしん/うわくちびる)?上の歯?上の歯茎(はぐき)?硬口蓋?軟口蓋あまり動かない
下の調音器官:下唇(かしん/したくちびる)?下の歯?下の歯茎?舌など 動きやすい
調音点:口腔の上のあ

まり動かない調音器官
調音者:下の比較的動きやすい調音器官
調音部位:調音の際、主な働きをする調音器官
調音点と調音者によって作られる閉鎖や狭めなどで共鳴室の形を変える方法を調音法という。
三、単音
1.単音(最小の音声学的単位)
定義:分解されたそれぞれの音はこれ以上細かくわけられないところから単音と呼ば
れる。
分類:母音?子音?半母音
母音:声道内に閉鎖や狭めがなく、口腔が開放された状態で出される音。
子音:声帯を通り抜けた音や息が述べた音声器官のどこかで閉鎖や狭めという妨害を
受けて形成される音。半母音:母音によく似た有声音だが、わずかながら声道内の狭めを伴ったり、持続時間が短ったりする。母音と子音の中間的音とも考える。
2.母音:[ア] [イ] [ウ] [エ] [オ]
2.1三要素:
母音の音色は、次のような要素で決定される:
①口の開き方 広?中? 狭
広母音:(口の開き大、舌の位置低)[ア]
狭母音:(口の開き小、舌の位置高)[イ]と[ウ]
中開き?中閉じの母音:(両者の中間にある) [エ]と[オ]
②舌の最高点の位置(前後): 前舌?中舌?奥舌
前舌母音:前舌が硬口蓋に接近する母音。[イ]と「エ」
中舌母音:中舌が軟口蓋に接近する母音。 [ア]
奥舌母音:奥舌が軟口蓋に接近する母音。 [ウ]と「オ」
③唇の形: 円唇? 非円唇(平唇)
円唇音:[オ];非円唇音:[ア][イ][ウ][エ]
2.2日本語の母音体系
ア[ɑ]: 広(低)-中舌-非円唇→ 非円唇低母音
イ[i]: 狭(高)-前舌-非円唇→ 非円唇前舌高母音
ウ[?]: 狭(高)-奥舌-非円唇→ 非円唇奥舌高母音
エ[e]: 半開(中)-前舌-非円唇→非円唇前舌中母音
オ[o]: 半開(中)-奥舌-円唇→円唇奥舌中母音
3.子音の分類
1)声帯の振動:有声音 無声音
2)調音点、調音者の分類
①両唇音:(上唇と下唇)マ、バ、パの各子音およびフの子音
②歯?歯茎音:(上の歯?歯茎と舌先)
サ、ス、セ、ソの子音およびザ、ズ、ゼ、ゾの子音、ラ行の子音、二を除くナ行の子音、タ、ツ、テ、トの子音、ダ、デ、ドの子音
③歯茎硬口蓋音:(歯茎硬口蓋と前舌) シ、ジ、チの子音
④硬口蓋音:(硬口蓋と中舌) ヒ、ニの子音
⑤軟口蓋音:(軟口蓋と奥舌)カ、ガ、カ°の子音、語末のン(口蓋垂に近い)
⑥声門音:(声門)ハ、ヘ、ホの子音
3)調音法の分類
①破裂音(閉鎖音)
まず声道内に調音者と調音点で閉鎖を作る。次に閉鎖を持続している部分があり、最
後に閉鎖が開放されて破裂が生じる。パ、バ行の子音、タ、テ、ト、ダ、デ、ドの子

音カ、ガ行の子音等。
②鼻音
口腔内に閉鎖を作り、同時に口蓋帆を下げて鼻腔への通路を作り、口腔内の閉鎖を開
放させながら鼻腔から息を出して調音する。マ、ナ、カ°行の子音、ン等。
③摩擦音
声道内で調音者が調音点に近づいて狭い狭めをつくり、そこを呼気が通過する際に生
じる音をいう。サ、ハ行の子音及び主として語中のザ行の子音。
④破擦音
閉鎖の後、それと同じ部位に狭めを作って調音する。破裂音と摩擦音の調音法がほぼ
同時に行われて一つの音を形成するところから破裂音という。チ、ツの子音及び主として語頭のザ行の子音。
⑤弾音
舌先が上の歯茎のあたりを前歯の方に向かって軽く一度弾くようにして調音する。ラ行の子音。
4.半母音
日本語では、「ヤ、ユ、ヨ」の[j]及び「ワ」の[w]が半母音と認められる。
① ヤ行の[j]
母音[i]に比べて[j]では舌面と硬口蓋の近づいている部分が広く、つまり舌の広い部分にわたって持ち上がっていて、持続時間も短い。硬口蓋母音とも言う。
② ワ行の[w]
[w]は両唇音であると同時に、母音の[?]と口構えがほぼ同じであるために両唇軟口蓋音とも言える。
四、五十音図と単音
カ行:無声軟口蓋破裂音[k]を用いる。
ガ行:語頭では有声軟口蓋破裂音[ɡ] 。語中?語尾では有声軟口蓋鼻音[?]も用いられる。
サ行:[し]以外は無声歯茎摩擦音[s]、[し]は無声硬口蓋歯茎摩擦音[?]を用いる。
ザ行:[じ]以外は有声歯茎破擦音[dz](語頭では[dz]、それ以外では[z]になることが多い)、[じ]は有声硬口蓋歯茎音[d?]が用いられる。
タ行:「た?て?と」の子音は無声歯茎破裂音[t]であるが、[ち]には無声硬口蓋歯茎破擦音[?]、[つ]には無声歯茎破擦音[?]が用いられる。
ダ行:「だ?で?ど」の子音には[t]の有声音[d]が用いられるが、[ぢ?づ]は[じ?ず]との発音の違いはなく、それぞれ[d?][dz]が用いられる。
ナ行:(有声)歯茎鼻音[n]が用いられる。[に]の子音は厳密に[?]である。
ハ行:[は?へ?ほ]の子音には無声声門摩擦音[h]が用いられる(語中に現れる時は有声音の[?])になることがある)が、[ひ]は無声硬口蓋摩擦音[?]、[ふ]は無声両唇摩擦音[[?]が用いられる。
バ行:有声両唇破裂音[b]が用いられる。
パ行:無声両唇破裂音[p]が用いられる。
マ行:有声両唇鼻音[m]が用いられる。
ヤ行:[や?ゆ?よ]ともに半母音の[j]が用いられる。[ji]、[je]はなく、ア行の「イ?
エ」に同じ。
ラ行:有声歯茎弾き音[?]を用いる。
ワ行:[わ]には半母音[w]が用いられるが、他

はア行に同じ。なお「を」を[wo]と
発音する人もいる。
練習
1.次の文章の( )に入れる言葉を、あとのア~カから選びんで記号で記入しなさい。
( )とは人間がコミュニケーションのために( )を使って発する音である。音声の中には、咳払いや舌打ちのようなものと「ココニイル」、「シマッタ」のようなものとがあり、前者を( )、後者を( )と言っている。両者の区別は主として、( )されて出来ているかいないかによる。( )の研究対象は言語音である。
ア音声 イ言語音 ウ非言語音 エ音声学 オ発音器官 カ分節
2.次に挙げた音声記号は日本語の音を代表するものである。
 これらの音の有声?無声、調音点?調音者(調音位置)、調音法について調べれみなさい。
a k s t n h m j r w g z d b p
3.次の条件に基づいて日本語の母音を順番に並べなさい。
 口腔の開き(大から小へ)
 舌の高さ(高い位置から低い位置へ)
 舌面の位置(前から奥へ)
第二節 音韻と音韻論
教学目標:音韻?音素の基礎知識を了解してほしい。
重点:音声と音素の関わり 
難点:相補分布の概念 各行音の相補文分布
一、音韻と音韻論
1.音韻とは何か。
個々の具体的な音声に対し、それらの中核にあって共通すると解釈できる抽象的な音を音韻という。
音韻を対象とする研究は音韻論である。
2.音韻論と音声論
1)共通点
どちらも、言語音(母音、子音、アクセントなど) を対象とする、言語学の下位分野である。
2)相違点
音声学は、音声を物理的?生理的な観点から研究する。
音韻論は、音声を機能的な観点から研究する。
音声学における言語音の基本的要素を「単音(おん)」と呼ぶ。単音は、その物理的な性質や生理的な発出過程によって記述可能。
音韻論における言語音の基本的要素を「音素(おんそ)」と呼ぶ。音素は、話者の心理
の中にのみ存在する抽象的な単位。
二、音素
1.音素とは何か。
音韻論では、単語の意味の区別に役立つ最小の単位を音素と呼び、音素は/…/のようにスラッシュで包んで示すのが一般的である。例えば、
/aka/ /asa/ /ada/ /aka/ [aka] [ak?a]
このように音素は現実的に観察される音声の特徴の束からその言語内で意味に関与しない余剰部分を取り去った抽象的単位である。
2.音素の抽出法と異音
最小対語 ( ミニアル?ペア )
意味の弁別に関与する音を見つけ出し、それを音素と認定するためにはまず“最小対語 "(ミニマ

ル?ペア)を探すという方法が取られる。最小対語とは前項の例 [aka]、[asa]のように一つの単音を入れかえることによって意味の違いが生じる一対の有意味の単語の組み合わせである。日本語においては以上の対から/k/、/S/が音素として抽出される。さらに [ada]、[aza]、[ana]の組み合わせから音素/d/、/z/、/n/が抽出されていく。
相補分布
次に「ハ、ヒ、フ、へ、ホ」の各音について考えてみよう。この五つの音は、音声記号では [ha]、[?i]、[??]、[he]、[ho]と表記され、子音に[h]、[?]、[?]の三種類の音が現れている。しかし日本語を母国語とする者(以下これを日本人という)はこれを通常三つの異なる子音と認識せず、全て/h/であると考えるのはなぜなのだろう。このような場合、この三音がどのような環境に現れているかを調べる。環境とは具体的には問題となる音の前後の音を指す。ハ行子音については次のような環境に現れる。例えば、
[h] は [a]、[e]、[o]の前。
[?] は [i] の前。
[?] は [?] の前。
以上のような環境の総体を分布と呼ぶ。この分布を検討すると [?] は [h]、[?]と同じ環境には現れず、[?]は[h]、[?]と同じ環境に現れないことがわかる。このように音声的に似通った音が互いに相手が現れない位置にのみ現れる現象を相補分布 (complementary distribution)をなすという。
相補分布をなす音の一つ一つは条件異音とよばれ一つの音素にまとめられる。ただしこの場合同じ音が異なる環境でそれに同化して異なる単音となっていることを説明できなければならないとされている。
日本語における[aka]、 [ak?a] のように音声的に似通った音で、 同一環境で入れかえても意味の違いに関与しない音は自由異音とよばれ、一つの音素としてまとめられる。
以上のような分析の過程を経て、日本語の音声から次のような音素が抽出される。
母音音素 /i、e、a、o、u/
子音音素 /p、b、t、d、c、k、g、m、n、?、r、h、s、z/
半母音音素 /y、w/
特殊音素 /N/ (撥音) /Q/ (促音) /R/ (引く音)
三、日本語の音素と音声
(1)母音
母音音素は / a 、 i 、 u 、 e 、 o / の五つである。この五つの音素について具
体的な音声は次のようになる。
/a/→ [ɑ]: 広(低)-中舌-非円唇低母音
/i/ → [i]: 狭(高)-前舌-非円唇→ 非円唇前舌高母音
/u/ → [?]: 狭(高)-奥舌-非円唇→ 非円唇奥舌高母音
/e/ → [e]: 半開(中)-前舌-非円唇→非円唇前舌中母音
/o/ → [o]: 半開(中)-奥舌-円唇→円唇奥舌中母音
注:[?] は円唇 [u] に対す

る非円唇の記号である。
(2) 子音
1)息の出方の多少
 音素の項でも説明したような [k] と [k?] に見られる違いである。息の多少については、息の出方の少ないものを無気音、多いものを有気音とよぶ。この無気音、有気音の違いは日本語では発話者の心理的条件 (驚いた時等)や、語頭、語中という現れる位置にも左右される。ここで特に息の多少について取り上げるのは無気、有気の別が意味弁別の要素となる言語があることにもよっている。
2)口蓋化
 舌面 (前舌部)が硬口蓋に向かつて [ j ] 、 [ i ] のような位置をとることを口蓋化 (硬口蓋化)という。例えば「ナニ」とゆっくり発音して「ニ」の時の舌の位置を観察するとこの口蓋化の現象がはっきりわかるはずである。
口蓋化の記号は IPA では [j]、[i] で表されるがここでは [j] を用いる。この口蓋化は程度の差はあるが、日本語のイ段 ( キ、シ、チ )および拗音の子音に現れる。
/P/ 無声両唇破裂音
[p?]
[i] 以外の母音の前。主として語頭。 [p?a:tto]( パーッと ) 。ただし通常の発音より息が多く出ている。
[p]
同上の環境、主として語中。[p?apa]( パパ )
[pj] 
[i, j] の前。 [pjiripjiri]( ピリピリ〉。 [pja, pj? , pjo] 。この音にも当然有気、無気の違いがあるが、ここでは省略する。
/b / 有声両唇破裂音
[b]
[i] 以外の母音の前。
[bj]
[i, j] の前。 [kabji](黴)。 [bja, bj?, bjo] 。
[β]
語中。 [aβ?nai]( 危ナイ〉。有声両唇摩擦音。調音法の破裂がゆるんで、摩擦に変わったもの。
/t/ 無声歯茎破裂音
 [t?]
[a、e、o] の前。主に語頭。 [t?atta]( タッタコレダケ〉。
 [t]
同上の環境。主に語中。 [tate]( 縦 ) 。
 [tj]
[i] の前。 [tji:]( ティー〉等主に外来語に多い。「チィー」でないことに注意。
/c / 無声歯茎破擦音
[?]
[ ?] の前。 [??kji] (月)。
[?]
[i] の前。 [i?i](一) 。 [?a、??、?o] 。無声歯茎硬口蓋破擦音。 ( 『言語学の方法』〈服部四郎〉によるとタ行は、
[ta te to ]
[ ?i tsu ?a ?u ?o]
/d / 有声歯茎破裂音
[d]
[a 、 e 、 o] の前。
[dj]
[i] の前。ディスコ [djis?ko] 等外来語に現れる。「じ」でないことに注意。
/k/ 無声軟口蓋破裂音
[k?]
[i] 以外の母音の前。主として語頭。 -[k?a:tto] (カーットナル)
[k]
同上の環境で主として語中。 [kak?] (書く)。
[kj]
 

[i, j] の前。 [kakji](柿)。 [kja 、 kj? 、 kjo] 。
/g/ 有声軟口蓋破裂音
[g]
[i] 以外の母音の前。
[gj]
[i, j] の前。 [gjim?] (義務)。 [gja 、gj?、 gjo] 。
[?]
語中。 [ka?amji] (鏡) 。有声軟口蓋摩擦音。語中の [g] の破裂がゆるんで、摩擦に変わったもの。
注: /k/ ? /g/ の無声音、有声音の違いは /p/ ? /b/ 、 /t / ? /d/ と同様に有気音、無気音の問題を持つ。息をあまり出さずに発音された「ガ カ」 ( 画家 ) 等の [g][k] が混同され学習者 ( 特に中国語話者 ) に無気音で発 音された場合は、日本人にはすべて有声の [g ] と判断されることが多い。
/m/ 有声両唇鼻音
[m]
[i] 以外の母音の前。
[mj]
[i, j] の前。 [mja 、 mj? 、 mjo]。
/n/ 有声歯茎鼻音
[n]
[i] 以外の母音の前。
[?]
[i, j] の前。 [?ik?] (肉)。 [?ia 、 ?i?、 ?io] 。有声硬口蓋鼻音。
注:[?] の字母があるので [nj] は使用しない。日本語の口蓋化子音の中でも [?] はその口蓋化が強いものの一つである。口蓋化が足りないと前記「ニク」は「ヌク」のように聞こえる。
/?/ 有声軟口蓋鼻音
[?]
[i] 以外の母前の前。語中。 [s??ata] (姿)。
[?j]
[i,j] の前。語中。 [ha?jri](歯切)。 [?ja 、?jui 、?jo] 。
[g] は語頭に、 [?] は語中に現れるため [?]は相補分布を示す [g] の 条件異音であるとする考え方もあるが、次のような最小対語によって別個の音素とされている。
例 オーガラス(大硝子)― オオカ?ラス (大烏)
ダイゴ (第五) ― ダイコ? (醍醐)
ジューゴ (十五) ― ジューコ? (銃後)
オーガマ(大基) ― オーカ?マ (大釜)
(ただしこのような [g ] と [?] の区別は、若年層では消失する傾向にあることが金田一春彦の『日本語音韻の研究 LF 報告されている。)
/r/ 有声歯茎弾き音
 [?]
[i] 以外の母音の前。 [Karada] 払
 [?j]
[i, j] の前。 [?jis?] (リス) 。 [?ja 、?j?、?jo]。
 [l]
主に [a、e、o] の前。主に語頭。 [l] は側面音。
注:側面音とは舌先を歯茎につけたまま舌の両わきを開けて、そこから息を出して調音する音で、英語の「love」の語頭子音がこれに当たる。日本語でも若い人にこの[ l] を発音する傾向が見られる。またこの他歯茎で舌先が何度もふるえて顫動音 (またはふるえ音) [r] があり江戸っ子のべらんめえ調に現れる。弾き音 [?] は弾くようなふるえが一度だけ行われる音

であり日本語の /r/ はこれが基本である。弾き方が不十分で、長く歯茎につきすぎると破裂音 [d] になり、何回も弾くとふるえ音 [r] になるという大変難しい音である。また中国語の粤語方言 (広東語等)、閩語方言 (台湾語等)では[n]と[l]が自由異音や条件異音の関係にあるため「カラダ」、「カナダ」のような混同が起きやすい。
/h/ 無声声門摩擦音
[h]
[a 、 e 、 o ] の前。
[?]
[i, j] の前。 [?ir?] (昼)。 [?a、??、?o] 。無声硬口蓋摩擦音。 [?]の字母があるので [hj] は使わない。口蓋化子音の中でも特に口蓋化が強い子音の一つであり [?] よりも舌が硬口蓋の高い部分 (後寄り)に近づいている。
[?]
[?] の前。 [??ne](船)。無声両唇摩擦音。両唇を近づけてそのすき間から息を出して調音するが、実際には [??] は [h?] になりつつあるといわれる。〔 2 音素と音声〕で述べたようにこの三音は相補分布の関係にある。
[x]
[a、e、o] の前。無声軟口蓋摩擦音。 [h] より前よりで摩擦がはっきり聞こえる。 [k] の部分を摩擦にした音で、驚いて「へーッ」と言った時の語頭に観察される。
[?]
[a、e、o] の前。語中。 [go?an](御飯ーゴアンのようにも聞こえる)。有声声門摩擦音。母音に狭まれた位置で [h] が有声音に変化し たもの。
日本語の [h] は声門摩擦音といわれるが実際には摩擦は少ない。こ れを調音点が軟口蓋よりの [x] 、[χ] で発音すると( 中国語話者に多い)摩擦が多くなって聞こえが異なる。
/s/ 無声歯茎摩擦音
[s] [i] 以外の母音の前。
[?] [i, j] の前。 [?ita](舌)。 [?a、??、?o]。無声歯茎硬口蓋摩擦音。
[?] の字母があるので[sj]は使わない。日本語の[?]は英語の[?]に比 べて唇の円めも伴わず、調音点も後よりである。また日本語の[?]は英語のような舌先による調音ではなく前舌面を使う調音である。このような前舌面を使う調音を[?]と区別して[?]とする別記号もある(同じ理由で[t?]も[?]とする)。[?]と[?]の音色はかなり異なるため日本語らしい「シ」のためには前述の調音点、舌の形、唇の形に注意する必要がある。
/z/ 有声歯茎摩擦音
[z] [i] 以外の母音の前。語中。 [kaz?](数)
[dz] [i] 以外の母音の前。主に語頭。 [dz??i] (逗子)。
まず「ズシ」(逗子)と「カズ」(数)の二つの語を発音して、両方の「ズ」の子音部に注目してみよう。最初の「ズ」は舌先が歯茎のあたりについてから離れる破擦音であるが、後の「ズ」はどこにもつかない摩擦音であることに気がつくだろう。こ

のように破擦音の[dz]は語頭に、摩擦音の [z] は語中に現れる。以下の [?]、[d?]も同様の関係である。
[?] [i, j]の前。語中。[mo?i](文字)。[?a、??、?o]。有声歯茎硬口蓋摩擦音。
[d?] [i, j]の前。語頭。 [d?i?o](辞書)。[d?a、d??、d?o]。 有声歯茎硬口蓋破擦音。
 なお上記二つの拗音もそれぞれの直音と同様、現れる位置は [?] は語中、[d?]は語頭である。
(3) 半母音
/y/
[j] [a、?、o] の前。[ja](矢)。
音声学的には[j]は [?] の有声音であるが、日本語の[j]は舌がほぼ母音 [i] に近い位置にあり、したがって摩擦が生じるほどのせばめがないのが特徴である。
/w/
[?] [a] の前。 [?a](輪)。
軟口蓋と両唇による二重調音であるが、[w]が円唇であるのに対し[? ] は非円唇を表す。英語の「wet」、中国語の「我」(wǒ) の [w] と比較すると日本語は「非円唇」が特徴であることがわかる。
[j][?] 両音とも、単独で音節を形成することはなく、わたり音的である。
練習
1.音声と音韻の違いについて述べなさい。
2.一つの音素でいくつかの単音を代表するのが普通である。場合によって、いくつの音素で一つの単音を代表することがある。これについて例を挙げて説明しなさい。
3.次の音素はどんな単音を代表するか、説明しなさい。
/s/: /c/:
/n/: /h/:
/z/: /d/:
第三節 日本語の音節
教学目標:日本語の音節に関する基礎知識を紹介する。
重点:日本語の拍の特徴 母音の無声化?拗音の直音化等の音便現象
難点:/N/(撥音)の音声
一、音節と拍(モーラ)
1.(音声学)音節
日本語の音節とは、一般には「単音、あるいは音素より一段上位の音声的単位である」とされ、また「その言語の話者がそれ以上短く区切って発音することのできない音声
の単位である」といわれる。
 例えば、「花(はな)」 「は」「な」の二音節からなっている
 促音、撥音は問題になる。
 例えば、「一本」 4音節? 2音節?
2.(音韻論)拍(モーラ)
仮名1字(拗音のみ2字の組み合わせ)の単位は、だいたい同じ時間で話されるという特徴を持っていて、「拍(mora モーラ)」と呼ばれる。
 日本語では、「拍」と「音節」を同じ意味で使う場合もあるが、同じでない場合もある。
 例えば:
1)?ニ」、?ッ?、?ポ?、?ン?の四音節とする。 (有坂秀世らによる)
2)?ニッ」、?ポン?の二音節、 ?ニ?、?ッ?、?ポ?、?ン?の四モーラとする。 (

服部四郎らによる)
3)?ニ?、?ッ?、?ポ?、?ン?の四拍とする。 (金田一春彦による)
「音節」が「聞こえのまとまり」の単位であるのに対し、
「拍」は「時間的まとまり」の単位である。
音節はあらゆる言語に存在する聞こえのまとまりという定義を与えられても、実際には、何を聞こえのまとまりとするかはかなり難しい。日本語の場合は、音声の単位はだいたい同じ時間で発音される単位であるということがまず大事な点である。
二、拍の特徴
 日本語の拍がどのような音素のつながりで構成されているかについて拍の構造は次のように考えられている。
1)1 母音音素
2)1 子音音素 +1 母音音素
3)1 子音音素 +1 半母音音素 +1 母音音素
4)1 半母音音素 +l 母音音素
5)1 特殊音素
5)を除いてすべて母音、あるいは子音+母音を原則としている。英語は子音 + 母音 + 子音を原則とする構造であり、このような違いが英語の [milk] を日本人が [mjir?km](ミルク)と発音する原因となっている。
三、特徴音素
1) /Q/ (促音)
 一般に促音はつまる音と称され小さい「ッ」で表されるが実際には次のような種々の音声が観察される。
 a) [p] 無声両唇破裂音 [p] の前。 [ippo]( 一歩) [kappats?]( 活発〉。
b) [t] 無声歯茎破裂音 [t]、同破擦音[ts]、[t?]の前。[itai](一体)[itts?:](一通)、 [itt? akm](一着)。
c) [k] 無声軟口蓋破裂音 [k] の前。 [hakko:](発行) 、 [ikkm](一句)。
d) [s] 無声歯茎摩擦音 [s]の前。[sassok?] (早速)、 [issok?](一足)
e) [?] 無声歯茎硬口蓋摩擦音 [?] の前。 [i??o](一緒) 、 [ke??o:](結晶)。
2)/N/(撥音)
 一般に撥音は「はねる音」と称され「ン」で表記されるが、その具体的音声には次のようなものが観察される。現れる位置について述べていないものはすべて語中で母音の後である。
[m] 両唇破裂音の [p 、b] 、同鼻音の [m] の前。 [kampo:](漢方)、[kamb?](幹部) 、 [samma](秋刀魚)。
[n] 歯茎破裂音?破擦音等の [t、d、ts、dz、t?、d? 、r] および鼻音の[n]の前。[hantai]( 反対)、 [hondana](本棚)、[annai](案内)
[?] 硬ロ蓋鼻音 [?] の前。 [ha??a](般若) [ko??ak?](コンニャク)
[?] 軟口蓋破裂音、同鼻音の[k、g、?] の前。 [gj ?ko:] ( 銀行 ) 、[o?akm] あるいは [o?gak?](音楽)。
[N] 奥舌と口蓋帆によるゆるい閉鎖の鼻音。語末或いは次に母音、半母音が来る場合。 [hoN](本) 、 [paN]( パン ) [?ihoN](日本)
[reNai](恋愛)[?iNwa](神話)
3)/R/( 引く音 )
 「引き音」「引く音」とも言われ、長(母)音の後半の部分である。長(母)音は(短)母音一

拍と、それと同じ母音の引く音(1拍)との組み合わせで、2拍である。長(母)音の発音は、最小の母音の調音の状態のまま2拍分響かせることである。現代共通語では[a: i: ?: e: o:]の五つであり、音質は短母音と同じである。例えば、
 [e:?a](映画) [gakko:](学校)[gji?ko:](銀行) [o:kji:](大きい)
四、その他の特徴
 l)拗音
 日本語の 1 拍はかな 1 字で表されるが例外が拗音である。音声学的には口蓋化した子音に [a 、?、o] がついたものと考えられるが音韻論的には [j] は /y/と解釈され、 [kja 、?a、?a……] は /kya、sya、hya……/と表される。
 また拗音のうち [??、] 、 [d??、] は [?i]、 [d?i] に発音されることが多い。 例えば『日本語教育事典』には「手術」に「シュジュツ」、「シジツ」、「シュジツ」、「シジュツ」の四種類の発音が観察されることが報告されている。このような現象を拗音の直音化とよぶ。
2)ガ行鼻音
ガ行鼻音 [?] は〔 3日本語の音素と音声〕において語中に現れるとしたが語中でも [g] が現れる例として次のようなものがあげられる。
a)外来語
例 カーディガン、キログラム、ただし慣用の古いものなどは鼻音化する。
( 例イキ゜リス、キンク゜)
b)数詞の五
例 「五」、「十五」、「二十五」、ただし「十五夜」、「七五調」、「菊五郎」のような成語、熟語、人名などは鼻音化する。
c)軽い接頭語に続くガ行音
例: お元気、お義理、お具合
d) 結びつきが強くない複合語
例: 高等学校、料理学校、日本銀行、ただし小学校、中学校、経済学等は結びつきが強く鼻音化する。また日銀なども鼻音化する傾向にある。
e)擬声語、擬態語、漢語の重ね言葉中のガ行音
例グズグズ、ゴクゴク、ゴタゴ夕、カンカンガクガク (侃々諤々)
 また連濁を生じた語については鼻音化するのが普通である。
例国々、小切手、ほの暗い
3)母音の無声化
 母音の項で述べたように本来有声であるべき母音が無声になる現象を指す。ただし舌の構えはその母音の位置に1拍とどめられる。音声記号で、は[k??i](櫛)のように無声化する母音の下に○をつけ、かなの場合は「?シ」のように表されることもある。
母音の無声化が観察されるのは次のような場合である。
a)無声子音にはさまれた [i] と [?]
[kj?a] (汽車)、 [k??i] (口)
b)無声子音に続く語末?文末の [i] 、 [?]
[des?] (デ?)、[mas?] (マ?)
c) その他
1. 語頭で、無声子音に先立つ [i]、[?] にも無声

化が観察されることがある。
[ikjimas?](行?キマ?、 [?ts?r?] (移?ツル)
2. 無声子音に挟まれた母音が連続する場合、無声化するものとしないものが交互に現れることが多い。
[kjikjits?ke??](聞?キ?ケル)
3. 無声子音に挟まれた [a、o] は無声化することがある。
[koko?o] (心)、[kaka?i](?カシ )
4) 母音の脱落および縮約形
話し言葉の中では次のような場合に広範な母音の脱落が観察され、時にはわたり音等が加えられて縮約形が構成される。 これらの形は特に学習者が日本人の話言葉を理解するのには欠かせない要素である。
a) [i] の脱落
[tabetei??](食ベテイル)→[tabete??]( 食ベテル〉
b) [e] の脱落
[?iteok?](?テオク)→[?itok?](?トク)
c) [o] の脱落
[konoaida](コノアイダ)→[konaida](コナイダ)
d)[?]の脱落
[s?te??](?テル)→[ste??]
[?]の脱落と促音化
[o??ak?ka](音楽家)→[o??akka](音楽家)
e) 母音?半母音の脱落と拗音化
[(non)de?a](飲ンデワ)→[(non)d?a](飲ンジャ)
[(tabete?a](食ベテワ)→[(tabe)?a](食ベチャ)
f)その他の拗音化
[(ike) ?eba](行ケレバ)→ [(ike)?ja](行けリャ )
[(ik) eba] 〈行ケバ〉→ [(ik)ja](行キャ)
[(tabe) te?ima?](食ベテシマウ)→[(tabe)?a?](食ベチャウ )
[(non)de?ima?](飲ンデシマウ)→[(non)?a?](飲ンジヤウ)
g) 撥音化
[?aka?anai]( ワカラナイ ) → [?akannai](ワカンナイ)
f)その他
[(ik?)toi?](行?トイウ)→[(ik?)ttei?](行クッテイウ)→[(ik?)tti?](行クッティウ)
練習:
1.次の各語の拍数を数えてみなさい。
一人 二度 三人 四日 九つ 二十日 北京
上海 昨日 今日 音韻論 二重二十重(とえはたえ)
2.次に挙げたのは日本語の音節構造のパターンである。それぞれに例を挙げなさい。
1)一つの母音音素:
2)一つの特殊音素:
3)一子音+一母音:
4)一半母音+一母音:
5)一子音+一半母音+一母音:
3.次の言葉の発音の変化を観察し、その変化の仕方について説明しなさい。
1)出発→シッパツ 2)読んでいる→ヨンデル
3)言っておく→イットク 4)いやだ→ヤダ
5)この間→コナイダ 6)わたしは→ワタシャ
7)あなた→アンダ 8)来られない→コレナイ
9)忘れてしまった→忘れちゃった
第四節 日本語のアクセント
教学目標:日本語のアクセントに関する基礎知識を了解してほしい。
重点:日本語のアクセントの機能?共通語アクセントの特徴?アクセントの型
難点:日本語アクセントと中国語アクセントの相違
一、アクセントの概念と種類
1.アクセントとは何か。
日本語を

発音する場合に拍の高低を区別する必要があるが、英語のような言語を発音する場合に拍の強弱を区別する必要がある。しかもこの拍の高低や強弱の区別は個人が自由に決められるのではなく、その単語を共有する地域では一定の規則を持つ。
 このようにアクセントとは 、個々の語句について、社会的慣習として決まっている相対的な高低または強弱の配置のことである。
2.種類
アクセントは言語によって、高低の区別を持つもの(「高低アクセント」)と、強弱の区別を持つもの(「強弱アクセント」)とに分けられている。
 高低アクセント:日本語、中国語、ベトナム語、タイ語等。
 強弱アクセント:英語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語等。
3.日本語アクセントと中国語アクセントの相違:
共通点:両者とも、「高低アクセント」の言語に属する。
相違点:中国語のアクセントは、一つ一つの音節の中に高低の変化があるところから「音節高さアクセント」と呼ばれている。これに対して、日本語の場合は「単語高さアクセント」と呼ばれて、拍(或いは音節)と拍との間の相対的な高さの違いによって意味や品詞が変わる。
 例えば: 中国語: 我 马
日本語: 私 馬
二、日本語のアクセントの機能※
1.語の意味を識別する働き(弁別機能)を持つ。
2.語と語の切れ目を示す働き(統語機能)を持つ。

三、共通語アクセントの特徴

①アクセントの型に下がり目のあるものとないものがある。
②一語(或いは助詞等がついた場合は一文節)内の下がり目がわかればその語(文節)内の他の拍の高低の位置関係が決まる。
③n拍語のアクセントの型の数はn+1である。
注:下がり目とは拍と拍の境目で起こり、その個所をアクセントの滝と呼ぶ。また下降が起こる直前の高い拍にはアクセントの核があるという。
四、アクセントの型※
東京語のアクセントの型はアクセント核を持つものと持たないものの2種類に分けられる。このアクセント核を持つものを起伏式、持たないものを平坂式と呼ぶ。
さらに起伏式は第1拍目にアクセントの核を持つ頭高型、最後の拍にアクセントの核を持つ尾高型、その中間にアクセントの核を持つ中高型の3種類に分けられる。

五、アクセントの表記法
 アクセントを表示する方法としてさまざまなものが考案されているが、
現在次のようものが一般的に使用されている。
(1)傍線によるもの:高い拍の右また

は上に傍線を引く。
(2)記号によるもの:体言等の拍を丸で、後続する助詞等を△で表し、
高い拍を黒で、低い拍を白で表す。
(3)数字によるもの:
①高い拍の最後が前から何番目の拍か(核の位置)を示す。
②01、02、03或いは-1、-2、-3の表記を用いる場合もある。
六、品詞とアクセント
1.名詞

特殊モーラ(撥音、促音、長音)及び連母音の後部のモーラにはアクセントの下がり目は起こりにくく、発音しやすいように、原則として1モーラ前にずれる。例えば、玄関 仏教 カーテン 毎日
母音の無声化とアクセントの下がり目も共起しにくい。この場合は、アクセントは後ろにずれると考えられる。例えば、機会 資金
2.動詞
 動詞の終止形のアクセントの型は原則として0型か-2型である。
-2型:食べる
食べない 食べて 食べよう 食べれば 食べます 食べろ
0型:始まる
始まらない 始まって 始まろう 始まれば 始まります 始まれ
 ただし名詞の項で述べたような特殊の拍にアクセント核がきた場合は、その前後にずれる。例えば 愛する 信ずる 

3.形容詞
 形容詞の終止形のアクセントの型も動詞と同様原則として0型か-2型である。ただし-2型の形容詞は30語のみで2拍語はすべてそれに属する。
 -2型 白い
白かった 白く 白くて 白ければ 白かろう 
 0型 赤い
赤かった 赤く 赤くて 赤ければ 赤かろう 
第四節 イントネーションとプロミネンス
教学目標:日本語のイントネーションとプロミネンスに関する基礎知識を了解してほしい。
重点:イントネーションの種類
難点:イントネーションとアクセントとの相違点
一、イントネーション
1.イントネーションの性質
文末の高さの変化をイントネーションという。とくに会話では、話し手の心的態度の表出の形式といえる。例えば、 分かっている。 あなた。 何だ。
2.アクセントとの相違点:
①ア:音の高さが個々の語に固定している。はしが① ② 0
イ:音の高さがアクセントを超えて、話し手の目的によって流動する。
歩く②(歩きますか) ②(ええ、歩きます)
②ア:恣意的で言語ごとに異なっている。
英語 中国語 日本語
イ:言語全般にわたって共通性がある。例えば、疑問文の場合、文末における音が(上昇する)、断定文の場合、文末における音が( 下降する )。
英語:Are you a student? Yes, I am student.
中国語:你是学生吗? 是的,我是学生。

日本語:あなたは学生? はい、学生です。
③ア:語の意味の弁別に寄与する。
イ:文の全体の内容について陳述をする。
二、イントネーションの種類
イントネーションに関しては、一般に下降調、上昇調、平坂調(自然下降調)の三種類に分けられる。
1.下降調には断定的命令、詰問、納得等話し手の意志的判断がはっきり出される場合が多い。例えば、
静かにしなさい。お前は何だ。 話し合うな。 学生ですか。
2. 上昇調は疑念や確かめ、叙述の未完了等話し手の意志や判断が直接的に表明されない場合に現れることが多い。例えば、
分かります。 お前は。 ええ、知りませんか。 雨。 タバコをやめてね。 
3.自然下降調は意識的に音調を上昇も下降もさせない場合である。この場合、生理的理由によって、音調は文末に向って自然に下降する。この音調は平叙文で使われるが、疑問語疑問文でもよく使われる。
例1:A: あの人は日本人ですか。
B: いいえ、あの人は中国人です。
例2: A:山田さん、大学に合格したそうですよ。
B:そうですか。山田さんも大学生ですか。
例3: A:このケーキおいしそうですね。
B:あいつが作ったケーキなんかおいしいもんか。
例4: A:明日は九時に学校に来ます。
B:明日は日曜日ですよ。
二、プロミネンス
1.プロミネンスの性質
 文中の特定の要素に強勢を置くことで、その要素を文中のほかの要素より情報的に重要なものとして扱うことができる。この強勢をプロミネンス(卓立)という。たとえば、
 ロンドンでミイラを見る。
 ロンドンでミイラを見る。
 ロンドンでミイラを見る。
2.プロミネンスを表す方法
 ここでは特殊音節による方法を紹介しよう。
 ①撥音によるもの
まるい、まるい、まんまるい。
 ②促音によるもの
 すっばらしい。
 たっくさんの資料を持ってきた。
 今はほんっとに美しいバラの季節になりました。
 ③長音によるもの
 わかーい人たち。
 ひじょーうに長い小説。
 車のながーい列が続きました。
 すっごーいですね。
3.プロミネンスの基本形
①形容詞や修飾の役割をする文節はそれを受ける名詞より高い。
 オモシロい ホンデス。
②動作を表す部分の卓立は低い
 ホンヲ ヨミマシタ。
 ▲ △
 ガッコーニ イキマシタ。
 ▲ △
③「…は…です」のような説明文は卓立

が後に来る。
コレハ ホンデス。
△ ▲
アレハ イクラデスカ。
△ ▲
倒れた人、めったに行かない。
テレビを見る
音楽を聴く
先生になる 
来ないと思う。
木村さんは会社員です、去年の夏は暑かったね。
パンダは動物園にいる。
それは昨日の新聞ですよ。


第一章 文字
第一節 文字の性格
教学目標:文字に関する基礎知識を了解してほしい。
重点:文字の種類。
難点:文字言語と音声言語の比較。

一、文字とは何か。
文字とは社会習慣として言語における語?音節?音素などの単位に対応し、それと結びついて視覚的に言語を表示すための記号になっている平面図形のひとまとまりである。
個々の文字には、それぞれ固有の字形があり、また、語形?音声との対応があって、原則として言葉の時間的な流れに沿って配列される。
 文字は事件を記録するための絵に起源を持ち、いくつかの場面にカットされたコマ絵から、文中の語にも対応して繰り返し用いられるようになった絵文字を経て発達したと言わ
れる。しかし、完成した文字には、語?音節?音素などの言語単位と結びついて、一定の語形や音声を表すという機能があり、一定の読み方がなければならない。文字はその点
において、単なる絵や文字以外の記号とは区別されるのである。
二、文字の役割
 文字言語は音声言語に比較して次のところに優れている点がある。 
1.音声言語は有効範囲に限度があるとともに、その場で立ち消えてしまうという欠陥を持っている。現在は電話、ラジオ、テレビ、録音機、コンピューターなどがある程度この欠
陥を補っているが、それらの発明実用化される以前に使用の始まったのが文字である。文字が間接的に伝達に役立つのは文字という視覚記号が音声による聴覚記号に比べて恒久性があるからである。それは瞬間ばかりでなく、後の時期にまで保存されやすいこと。 
2.文字を用いれば、音声によらなくても、言語を遠くまで送ることができ、書いた後はいつでも必要な時に読むことができる。即ち、遠隔の所まで移動しうること。
3.(とくに日本語において)煩わしい待遇表現を用いずに済ませうること。
4.共通語であるので、方言よりも広い範囲の人々の間に通用すること。
5.複雑な内容を有する事柄や思想などを、表示したり、注を付したり、図式などを併用したりしうることなどが上げられること。
6.印刷による時は、一時に多数の人

に対して、伝達し得ること。
 音声言語に対して、文字言語は劣っている面もある。
1.文字を記憶し、書写または読解する能力を獲得するために、多年の学習を必要とし、書写に多大の時間を要すること。
2.多くの場合、話し手、聞き手が対面しないから、話し手の微妙な意志、感情などが十分に伝達されない恐れがあることなどが挙げられる。
三、文字の分類
 今日までに知られているすべての文字は、普通大別して表音文字と表意文字の二つに分けられる。
1.表意文字
 古代エジプト文字、漢字など多くは一字ごとに単語の意味(あるいは造語成分)を表すことを原則とする文字(の体系)。たとえば、山、人、川、木、海、机等。現在において、表意文字としての性格を保ちつづけているのは、漢字だけである。ただし、漢字の七、八割を占めるいわゆる形声の文字になると、直接には表意ということはできない。漢字全般を通じて言えることはその一字一字が本来中国語の一語一語を示すということであって、その意味では、表意文字というより表語文字というべきである。
2.表音文字
 歴史的に見れば、表意文字の表音文字化の流れとしてとらえることができる。この表音文字は、またローマ字、アラビア文字のような一字が一音を表す単音文字と仮名のような一字が原則として一音節を表す音節文字に分けられる。しかし、表音文字といえども、厳密に言えば、言葉の音を文字に写すことを目的とするものではなく、あくまで、音を暗
示することによって意味を伝えることを目的とするものである。
日本語において、表意文字の漢字を大量に使用するほかに音節文字の平仮名、片仮名
のみならず単音文字のローマ字も多く用いられているので、かなり複雑である。
第二節 漢字
教学目標:漢字に関する基礎知識を了解してほしい。
重点:漢字の読み方(音読み?訓読み?重箱読み?湯桶読み?熟語読み)?国字と当て字
難点:熟語読み 国字
一、漢字の特色
漢字は、元来中国語を表記するための文字として、中国の漢民族の間に発達した一種の表意文字である。その後、日本に伝来し、日本語を表記するものとしても用いられてい
るようになった。漢字の特色は、それぞれの文字が「形、音、義」の三要素を兼ね備えているということである。
1.字形これがそれぞれの文字の独特の字体で、一般的には、偏旁冠脚(へん?つくり?かんむり? あし)などに分けることが行われている。
2.字

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